今、地球に何が起こっているのか

私たち人類は河川、湖沼、海などさまざまな水と共に生きています。毎日の暮らし、社会の営みの中で、水は私たちにとって必要不可欠なものです。
現在、地球上には約13億8.800万立方キロメートルの水があり、その約97.5%は海水などの塩水です。一方、人間が毎日の生活で必要とする水は、塩分が含まれていない淡水ですが、その淡水は約2.5%しかありません。しかも、その多くは人間が利用できない氷雪の中にあり、利用できるのは地球上の水のほんの一部しかありません。そのうえ、世界各国の水道水の普及率といえば世界の数%にしかすぎません。
しかし今、世界では爆発的な人口増加と生活水準の向上により、世界各地で深刻な水不足が起きています。世界人口約60億人のうち、5人に1人が生活に必要な安全な水を確保できないと言われ、毎年300万人から400万人が、水の汚れなどが原因で死亡していると言われています。

1.地球の水はゆたかなの?

日本の自然は古くからきれいな湧き水が多数あり、その近くではお酒や醤油などが作られ、文化が育まれてきました。日本の地形の特徴として、山や急な川があり、水の循環が早いことから、水のきれいな国として知られていました。そして神社には必ずお清めの水があり、水の神様を祭ったところが多く存在し、“水”を大切にしてきた民族でもありました。

しかし、残念なことに高度経済成長の結果、工場からは大量の排水により地下水が汚染され、山奥の土地も開発されたことで土壌汚染も進みました。また、都市部では人口の集中化や環境悪化のリスクが発生し、多くの公害病を引き起こしました。
これらの問題を受けて国は様々な対策を打ち出しましたが、都市部を流れる水質が未だ改善されないところもあり、また環境ホルモンやダイオキシン類、中国からの黄砂など、有害化学物質による汚染という問題も新たにでてきています。


注)1.FAQ(国連食糧農業機関)「AQUASTAT2003」(website)をもとに水資源部作成。
2.面積、人工は2000年値(FAOSTAT)。平均降水量は1961年〜1990年の平均値(IPCC)。
3.日本の平均降水量、水資源量は1971〜2000年の平均値、水使用量は2000年値で水資源部調べ。
4.水資源量はTotal renewable water resources(actual)(FAOSTAT)より。

(出所:(財)水資源協会「日本の水 2005」)

2.日本の浄水場の仕組み

浄水場での浄水方法は「急速ろ過方式」「緩速ろ過方式」「高度浄水処理」の3つの方式に分類されます。日本では人口の増加などによって、より早くより多くの水を処理しなければならないということから、約70%の浄水場で急速ろ過方式を採用しています。

3.日本の水道水の問題点

日本は衛生面で安全だといわれています。しかし、SARS,BSE,鳥インフルエンザなどが世界的に猛威を振るっている他、院内感染やエイズや結核の広がりなど、感染症の問題がしばしば取り沙汰されています。
水道水にも感染症による影響はないのでしょうか?
まず、消毒ですが、この定義は「病原性微生物と考えられるものの感染力をなくすこと」となっています。その為、水道水には塩素が使われることは皆さんご存知の通りです。しかし、塩素による水道水の消毒は、コレラやチフスなど古典的な病原菌に対しては大きな効果を発揮しますが、一方で次のような課題も指摘されています。
・有機塩素化合物(トリハロメタンなど)を副生成する
・新たなウイルスや原虫などの微生物への消毒対象が現れ、これらは塩素への耐性が強い
・現実に原虫による水系感染が各地で発生している
現に1994年、神奈川県平塚市の雑居ビルで受水槽の水が汚染され、736人中461人がクリプトスポリジウムに感染して発症する事件がありました。また飲料水の摂取ではありませんが、水が関係するものとして、浴槽水や加湿器などの水利用と関連したレジオネラによるレジオネラ症発症事件が頻発し、2000年静岡県の複合レジャー施設で2名、東京都の特別老人ホームの入所者が1名死亡しています。また同年、茨城県において入浴施設を原因とするレジオネラ菌への感染症患者が334名発生し、3名が死亡するという事件もありました。 他にも、水道水にはさまざまな有害物質が含まれるリスクがあります。そのうちの主なものです。

水道水に、これらの有害物質が混じる原因には、老朽化した水道管の使用や下水処理の管理の不備があげられます。日本の水道水は安全と言われていますが、近年増えている新興ウィルスによる水系感染症への対処はまだ不十分であり、水への安全は各個人個人の管理していくことが、これからの時代重要となってきています。

4.知らないではすまされない、水道水の恐怖

1998年2月11日発のロイター通信社のプレス・リリースによると、妊娠3ヶ月以内の女性が、毎日グラスに5杯以上の冷たい水道水を飲むと、高い頻度で流産する危険性があると指摘しています。この流産のリスクの上昇は、国内大多数の都市浄水道システムで見られる、塩素消毒水道水に含まれる汚染物質への曝露に関連しており、その化学物質は、-総トリハロメタン(THM)-といい、植物素材から来る酸と塩素が反応したときに、生成されます。

5.ミネラルウォーターなら安全か?

現在の日本におけるミネラルウォーターの消費量は、年々増加の一途をたどっています。その市場は、この10年で8倍という急成長を遂げ、水を買うというのは日本人にとって日常のこととしてとらえられ、ミネラルウォーターを買う理由としては、安全で美味しい水を飲みたいという結果がアンケートなどでもでています。しかし、ミネラルウォーターは本当に安全なのでしょうか?


実は、水道水が46項目の厳しい基準を設けているのに対し、ミネラルウォーターは、その1/5程度の緩い規制で作られているのをご存知ですか?ヨーロッパでは処理を加えないものをミネラルウォーターといいます。米国や日本でも殺菌、滅菌、簡単なフィルターを通すだけで熱処理はしていません。

<参考資料 1>
農林省のミネラルウォーターに関する品質表示ガイドライン(1990年)

例えば、あるミネラルウォーターが石灰岩地帯を有する山岳から産出されていたとすると、非常に濃度の高い「ひ素」が含まれている可能性があります。管理された水道水の場合でさえ、一生の間にそれを飲み続けてガンになる可能性は10万人に60人という割合であり、これは他の食品と比べても60倍高い値です。

また、ミネラルウォーターをいれるペットボトルの処理も大きな問題となっており、ミネラルウォーターの普及と近年の500mlペットボトルの流行により、 消費量が急増、生産量はこの5年間でおよそ2倍になりました。 ゴミとして出される量も飛躍的に増加しています。 それら水が、どのような処理をなされているのか、それを飲むことによって地球規模で別の環境が汚染されていくことを、もっと我々は考えていかなくてはいけません。

出典:PETボトルリサイクル推進協議会資料/環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室「平成16年度容器包装リサイクル法に基づく市町村の分別収集及び再商品化の実績について」

毎日新聞2003年4月20日の記事では、横浜市衛生研究所が、国内で販売されているミネラルウォーターの一部から、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを検出していたことがわかり、水道水と比べて80倍以上の基準値を上回る商品もありました。飲み続けても人体に影響がある量ではありませんが、理由はミネラルウォーターの水質は食品衛生法による基準の項目が水道水に比べ少ないということを、今後問題視していくべきでしょう。